#2 アスリート向け(特にウェイトトレーニング初心者)のウェイトトレーニングプログラムについて
前回の記事で、アスリート向けのトレーニングプログラムについて簡単に触れさせていただきました。今回はその内容を少し深掘りして解説していこうと思います。
アスリートがウェイトトレーニングをする目的は「試合に勝つための体力を向上させる」ことだと思います。
そしてその「体力」というのは、ウェイトトレーニングを希望するアスリートの場合「筋力」を指すことがほとんどです。なので筋力向上にフォーカスしたトレーニングプログラムを作成します。このプログラムを構成する種目には以下の要素が必要になります。
①高重量を扱える種目
②フリーウェイト種目
①、②を満たす種目としては
スクワット、デッドリフト、プレス、パワークリーンなどが挙げられます。
ではなぜこれらの要素が必要なのかをこれから述べていきます。
①高重量を扱える種目
もちろん初めから高重量を扱うことは無理です。なので少しずつ重量を増やすことができて、長い目でみたら後々高重量を扱うことができる種目をチョイスします。
なぜ高重量を扱えるようになりたいのか?
それは筋力は挙上重量(1RM。一回挙げることのできる最大重量)に比例するからです。
高重量を扱える種目とは、多くの関節および筋を動員し、かつ安全に行うことができる種目となります。
②フリーウェイト種目
「高重量を扱えるならマシンでもいいんじゃない?」と思われる方は確かにいると思います。
マシンも悪くはないですが、体幹部分を安定させ、その上で四肢(もっと言うなれば股関節や肩)で大きな筋力を発揮するという点でフリーウェイトに大きく見劣りしてしまいます。
ケガや病気などの影響でフリーウェイトができない状態でなければ、基本的にメインはフリーウェイトで行いましょう。
“動作中の体幹部分の剛性を高めることができる”というのは、他のトレーニングではなかなか得ることができない非常に大きなメリットです!
ここからは上述した①・②の要素を基に、ウェイトトレーニング初心者の方向けのプログラムの組み方をお伝えしていきます。
まずは種目の選択です。
以下の3つの基本動作パターンから各セッションごとに少なくとも1つずつピックアップして、全身のバランスをとりながらトレーニングを進めていきます。
①スクワットパターン(バックスクワット、リバースランジなど)
②プッシュパターン(プレス、ベンチプレスなど)
③プルパターン(デッドリフト、パワークリーンなど)
次に負荷量についてです。
初心者はデッドリフトを除き、各種目メインセットを5レップ×3セット実施しましょう(メインセットに取り掛かるまでのウォームアップセットは除きます)。
デッドリフトはオーバートレーニングになりやすいので、メインセットは5レップ×1セットとします。
なぜ1セットが5レップなのかというと、高重量を扱う種目で
正しいフォームを再現し習得しやすいギリギリの回数が5レップと言われているからです。
また、「最大挙上重量を伸ばすのが目的なのに、なんで1回ギリギリの重さでやらないの?」と思われるかもしれません。
なぜかというと、初心者はまだ一回で全力を出し切る方法を知らないからです。
加えて最初は扱う重量が軽いので、筋力を向上するためとはいえ負荷のボリュームが足りず、5レップ×3セットをやった場合と比べて筋力の伸びが遅くなってしまうのです。
そして頻度ですが、
週に2〜3回、1回ごとの間隔を24時間以上空けて行うようにしましょう。
初心者はセッションごとに少しずつ、この5レップ×3セットできる重量を増やしていきます。
メインセットの重量が増えることで、筋力が向上していくのです!
種目数を増やすのではなく、種目を絞ってその重量を少しずつ増やしていくことに注力して下さい。
また、フォームにも注意が必要です。
多くの関節および筋を動員することは述べましたが、可動域に関しても意図的に制限せず、できるだけ大きな可動域で行うようにしましょう(例:ハーフスクワットではなく、フルスクワットを行う)。
ただ、高重量を扱えるフリーウェイト種目は習得が難しいです。
ウェイトトレーニングは正しくやれば安全ですが、不適切なフォームやプログラミングだと筋力がなかなか伸びないどころか、ケガをしてしまう恐れがあります。
フォームの習得は独学よりも専門家にみてもらった方がずっと近道だと思います。
今回はアスリート、中でもウェイトトレーニング初心者の方向けのトレーニングプログラム作成方法についてお話しさせていただきました。
アスリートの方はトレーニングに使える時間がかなり限られていると思います。
フォームの習得だけでなく、プログラムの選定や負荷量の設定、シーズンの期分けに合わせてのコンディションの調整等、トレーニング一つとっても考えること・やることはたくさんあります。
せっかくのトレーニングです。最短での体力向上を安全に実現させるためにも、まずはぜひ専門家にみてもらってはいかがでしょうか?
柔道整復師/鍼灸師/日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
吉澤 悟
0コメント